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ムーンな想い vol.10

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「月探査への本気度が感じられない『月探査ナショナルミーティング』」

月探査ナショナルミーティングの会場にて
Image credit: 寺薗淳也

月探査ナショナルミーティングの会場にて
Image credit: 寺薗淳也

4月3日、東京・有楽町で、月探査ナショナルミーティングというイベントが開催された。これは、内閣府の宇宙開発戦略本部の下に属している「月探査に関する懇話会」が主催し、月探査に関する国民との意見交換を目的に開催されたものである。当然、私も行ってきたのだが・・・正直言って肩透かし、期待はずれ、終了後にはなんとも空虚な気持ちが残った。

それは私だけではなかったようである。試しにGoogleで「月探査ナショナルミーティング」を検索してみると、大塚実さんの取材日記やTogetterのまとめサイトなどが出てくるが、総じて失望という印象である。こういう記事が検索の上位に出てくること自体、この企画がいかに期待はずれだったかを如実に示しているといえよう。

イベントそのものでいえば、本来のディスカッションという部分にあまりに方向性がなかった。また、せっかくのビッグゲストであった前原国土交通大臣(宇宙開発担当兼務)も、時間がなかったこともあってかコメントも短く、最後は月探査とまったく関係ない情報収集衛星の話に終始して、会場全体がなんともいえない雰囲気になってしまっていた。

私は、今回のイベントが失敗だった(そういってよいだろう)最大の原因は、上記の主催者サイトにもあるような「日本らしい月探査」をあまりに前面に押し出した姿勢だと考える。

そもそも、月探査を日本一国で行うのか、国際協力にするのか、またまとめ役が日本になるのかアメリカ(など)に乗っかるのか、ということさえ、まだ話がまとまっていない。そんな状況では、日本として月探査にどういうスタンスで向かっていくのかを決める方が先である。

しかし、日本らしさを前面に出してしまったおかげで、議論は無理な方向に走ってしまい、最終的にとりとめがない方向、あるいは誰もが納得できる方向に話を持って行かざるを得なくなってしまった。

日本らしい、というのは、言葉としては聞こえがいいが、そもそも世界レベルの話である月・惑星探査にわざわざ日本らしさをなぜ持ち出さなければならないのだろうか。中国が中国らしく、インドがインドらしく月探査を行おうとしているだろうか。いまはともかく「行く」(意思を示す)ことが重要であり、手段や外見(フリル)にこだわっている必要は全くない。

そして、誰もが納得できる、という点では、第2部の「日本らしい月探査への夢と希望を皆で語ろう」という題名が、このシンポジウムの方向性を予言し、そして結果的にそうなってしまったのである。いまさら「夢と希望」などという言葉が出てくることに、日本の月探査を巡る状況の深刻さが現れている。この期に及んでそんなことをいっているようでは遅すぎる。会場の誰も夢も希望も期待していない。これからどうするのか、どうすべきかを真剣に考えることを期待していたはずだ。

諸外国、特に中国、インドがここ数年のうちに月探査2号機を打ち上げ、月探査の第2ラウンドは早くも幕を開けようとしている。アメリカもまもなく、有人活動に関する新たなポリシーを発表するといわれている。民間もグーグル・ルナー・Xプライズにより、早ければ2012年までに誰かが月面にローバーを走らせるかもしれない。世界は競争の中で激しく動いている。

そんな中で、「日本らしい月探査への夢と希望を」語っているひまは1秒たりともないはずである。いまなすべきことは、次の月探査…それを「セレーネ2」というならそうであるが…を早急に実施すること、そして2025年までの現実的な・・・夢や希望や絵空事や架空CGではない・・・逐次的なミッション実行案を提示することである。そのためにはおそらく、日本が月に向かうことを理論的に支えるポリシーも作らないといけないであろう。

そして、広報活動で必要なのは、いわば「月探査ナショナルタウンミーティング」である。全国47都道府県で、懇談会の面々が膝詰めで地元の方と話し、生の国民の声を聞くことである。最後に美しい音楽とCGが流れるようなイベントは必要ない。

このようなミーティングを実施すれば、国民1人1人が本当に何を考えているのかがよくわかるだろう。その前に出席率が悪ければ、関心の低さに愕然とすることもあるだろう。そういうところから認識を共有しなければならないのだ。

最後になるが、今回のミーティングの所感は、私もTwitterでつぶやいており、どなたかがまとめて下さっている(terakinizersが私である)。このミーティングに出席した人(会場、そしてパネラーの学生さん)、みていた人を含め、多くの方の感想が凝縮されている。ぜひご一読いただけると幸いである。

Written by 寺薗淳也

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