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ムーンな想い vol.09
February 3 - 2010 - 寺薗淳也
「星座(コンステレーション)の先にみえるもの」

Image credit: NASA
日本時間で2月2日、アメリカ航空宇宙局(NASA)はアメリカ2011会計年度の予算について発表し、その中で、これまで進めてきた有人宇宙開発プログラム、いわゆる「コンステレーション計画」を中止することを発表した。
コンステレーション、英語では「星座」を意味する。きら星のごときスタープレーヤー(探査船やロケット)が、アメリカを地球近傍から月へ、そして火星へといざなう・・・そういうイメージが込められていたのかも知れない。しかし、結局この計画は、輸送手段となるはずのアレスI(アレス・ワン)の試験機がようやく打ち上げられた、その直後に中止の憂き目に遭うことになった。
今回の中止は、アメリカ国内でも賛否両論があり、科学者コミュニティの中でも議論が続いている。また、中止による雇用や技術的優位の喪失を心配する声もあるようだ。
しかし、冷静にこの予算をみてみると、そうではないということがわかる。
まず、NASAは有人プログラムを放棄するのではない。行き先も、月だけではなく、地球近傍小惑星やラグランジュ点など、別の目標になるかも知れないが、いずれにしてもフロンティアを広げていくことには変わりない。そして民間の輸送手段も使うなど、より柔軟性を高めてくる。
また、今回の予算では、技術プログラムへの投資やNASAの老朽化した設備の更新など、いわばNASAの足腰を鍛え直すところに多くの予算が費やされている。このことは、スペースシャトル以来、いや、アポロ計画以来、アメリカの宇宙計画を縛ってきた「ビッグローンチ、ビッグリターン」(大きな打ち上げ、大きな成果)のやり方を脱し、いまの時代にふさわしい宇宙開発へ向けて、真の意味でのリストラクチャリング(事業再構築)を行うものとみるべきであろう。
今後コンステレーション計画が中止されるためには議会承認が必要であり、議会で再び多数を占めた共和党の抵抗も予想される。だが、いろいろな産みの苦しみはあっても、このようなアメリカ宇宙開発の方針転換は、将来的なアメリカの宇宙技術の基盤強化に必ずつながってくる。今回の計画は見た目よりはるかに強力な潜在力を生み出す可能性がある。
では、ひるがえって日本はどうなのか。
前述の通りアメリカは有人月探査を未来永劫あきらめたわけではない。まして、科学プログラムでは無人月探査を積極的に推進することを謳っている。
一方で、日本の宇宙開発、特に月探査は、議論が続いているものの明確な将来方針を打ち出せていない。「かぐや」で生み出された豊富な技術者、科学者という資産、そして経験を活かしていくためには、次の目標を常に作り出していくことが必要だ。継承が途絶えてしまえば、せっかく作り上げた知的な資産は無に帰することになりかねない。
このままいくと、着実に実績を重ねている(いく)中国と、鍛え直して強大な力を再度発揮する(ことを目指す)アメリカとの間で、日本は自らの存在感を失いかねない。
日本がどのように月探査を進めていくのか。それは、日本が月探査を通して、社会や世界にどのような貢献をしていくのか、ということにも通じる。その結論は、早く着実に出していくことが必要だ。探査プログラムには長い時間が必要であることを考えると、時間にそれほど余裕があるわけではない。
アメリカはきらめく星座の先に進むべき道をみつけた・・・かも知れない。日本はどうなのか・・・それは私たち1人1人に課せられた課題でもある。私たちがきら星をつかむためには、自分たちで考え、行動しなければならない。
写真=「月軌道上を飛行するオリオン宇宙船の想像図。コンステレーション計画を象徴する絵でもある。」(NASA)
■コンステレーション計画(アメリカの有人月探査計画)
http://moon.jaxa.jp/ja/topics/Constellation/
Written by 寺薗淳也
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