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ムーンな想い vol.06
January 4 - 2009 - 寺薗淳也
「2009年の月・惑星探査を占う」

Image credit: NASA
新しい年の始まり、メディアにもサイトにも今年を占う記事が多数あふれているが、私もせっかくなので、月・惑星探査という点で、今年1年を占ってみたい。
一言でいって、今年は「月の年」。そして、数年後の探査ラッシュのための、準備の年になるだろうという予測である。
月探査についていえば、現在日本の月探査機「かぐや」が延長探査を行っている。夏頃までは継続する予定であり、さらなる成果の発見が大いに期待される。そして、10月には「かぐや」の探査データが世界に公開される。これによりさらなる成果が世界中から生み出されることになるだろう。それが、日本の探査機のデータにより生み出される、ということを私たちは忘れてはならない。私たちのお金が、世界の知を増やすことになるのだ。
一方、月探査の「本命」ともいえる強力な探査機の打ち上げが4月にある。アメリカのLRO(ルナー・リコナイサンス・オービター)だ。最大解像度50センチというとんでもないカメラを備えた探査機が、月の表面をくまなく探ることになる。但し、カメラの解像度が高すぎるため、全球をカバーできるわけではない。その意味で、細かい解像度で月面をフルカバーしている「かぐや」のデータが活きてくるのだ。
また、昨年11月から本格観測を開始した、インドの月探査機、チャンドラヤーンを忘れてはならない、以前書いたとおり、「かぐや」の真のライバルであり、すでに月の鉱物観測で鉄に富む鉱物を発見するなど、その威力を遺憾なく見せつけている。月という舞台でのライバル同士の対決、私たちもがんばらなければならない。
将来に向けてということになると、アメリカのオバマ新政権の宇宙政策、とりわけ、月・惑星探査政策を注視していく必要があるだろう。専門家も含め、宇宙に興味を持つ多くの人が、アメリカの宇宙政策、とりわけブッシュ大統領が2004年に打ち出した新宇宙政策(VSE: Vision for Space Exploration)がどう変更されるかを注視している。多くの人は、基本的に大きな変更はないだろうという読みではあるが、政権の意向以上に、いまのアメリカの経済状況によって、宇宙の優先度が下がらざるを得ない、ということになる心配は大きい。
今年打ち上がる予定だった火星探査機、MSL(マーズ・サイエンス・ラボラトリ)の打ち上げが2011年に延期された。2009年は久々に、「火星探査機が1機も打ち上がらない火星接近の年」になる。MSLの延期は開発上の問題だが、これまで上げ潮ムードでやってきたNASAの火星探査に水を差されたことは間違いない。新政権は、月・惑星探査をどうデザインしていくのだろうか。
また、日本についても、宇宙政策の大転換がいよいよ本格化してくる。昨年制定された宇宙基本法に基づき立ち上げられた宇宙開発戦略本部が、基本計画を答申する。それに合わせて、組織を含めた大きな変化が起きることが予想される。内閣府宇宙局の設立はすでにアナウンスされているが、JAXAなど、既存の宇宙関連組織にも影響が及ぶことが予想される。そのとき、月・惑星探査の分野はどうなるのか。将来的な「はやぶさ2」「セレーネ2」を含め、動きを見守り、かつ声を上げることが求められる。
一方で、大学や民間企業の宇宙開発への参入は、日本でも加速し始めている。おそらくその流れは遠からず、月・惑星探査にも及ぶことになるだろう。大学の研究者が、JAXAに頼ることなく、小型の衛星で宇宙をめざす、そういう時代がやってくるだろう。宇宙開発にもいろいろな意味で多極化の流れが押し寄せている。2009年、世界的にその流れはいっそう加速していくに違いない。
最後に、忘れてはならないのは、今年はアポロ11号の月面着陸から40周年ということ。私を含め、40歳より下の人には、セピア色の着陸の映像だけが接点ではあるが、せっかくの世界天文年、かつて人類が成し遂げた偉業を、もう一度振り返ってみてはいかがだろうか。
Written by 寺薗淳也
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