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ムーンな想い vol.05
December 2 - 2008 - 寺薗淳也
「淡路島で宇宙教育を考える」

写真:淡路島の宇宙科学技術連合講演会、宇宙教育セッションの会場にて(Photo: Junya Terazono)

写真:明石市立天文科学館にて、寺薗淳也と大貫美鈴さんのかけあい(Photo: Junya Terazono)
宇宙教育という、やや大きく振りかぶった感じのある言葉を聞いて、皆さんはどう思うだろうか。「理科離れ」「ロケット」「無重力体験」…宇宙に興味がある人もない人も、いろいろなことを思い浮かぶだろう。
宇宙教育という考え方は、それだけでは非常に漠としており、主に3つに分けた方がよいだろう。次世代の宇宙技術者や宇宙科学者を育てる教育、宇宙のコンテンツをカリキュラムに取り入れた学習、そして、宇宙の存在を認識することによる全人教育である。
このいずれもが重要であり、将来の日本を担っていく子供たちに、宇宙開発によって得られた成果によって刺激を与え、モチベーションを高める、ということは重要だと思う。
さらには、子供たちだけではなく、大人も重要である。生涯教育が一般的な流れとなっている中で、「新たに学びなおしたい」「自分が学んで子供たちに伝えたい」という要望に対しても、宇宙教育はいい材料になるといえるだろう。
このような宇宙教育という考え方が日本で芽生え始めたのは、2000年前後だと思う。当時の若い人たちが海外の宇宙教育プログラムで学び、その成果を持ち帰ってきたことから始まる。私は2002年から宇宙教育関係のセッションを学会に設け、研究者としての教育活動を紹介する場を作った。そして、2003年に設置された宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、青少年への教育を組織の重点課題として位置づけ、これに基づいて、2005年に宇宙教育センターがJAXAに設置された。学校での連携授業や青少年向け教育プログラムを実行している。宇宙教育は、宇宙開発や宇宙科学の応用先として、非常に強力な分野に育ちつつあるのだ。
さて、淡路島である。ここで開かれたのは、宇宙科学技術連合講演会という、宇宙工学を中心として広く宇宙開発・宇宙科学の研究者を集める学会である。この学会、名前が長いことから、たいていは「宇科連」と略されるのだが、実は私がここで、宇宙教育のセッションを2002年から持っているのである。
今年も、学会の日程のうち1日を使って、宇宙教育のセッションが開かれた。このセッションは年々、その特徴が変わってきている。最初の頃は研究者の自発的な努力による「教育」へのアプローチが発表されてきたが、今回の発表では、それに加えて、宇宙教育そのものの効果の研究や、エンターテイメントやイベントと結びついた宇宙教育への試みなど、この数年でそのベースがものすごく拡がってきたことを示すものとなった。
ときには立ち見さえ出るほどの盛況となったセッション会場は、宇宙教育に対する、特に若い人たちの熱意と興味を示すものといえるだろう。
さて、学会という限られた会場だけではなく、一般の人たちも加われるような場所で、広く宇宙科学・宇宙開発について知ってもらえるように、ということで、この宇宙教育セッションは2006年から、学会に併設するイベントを行っている。今年は、淡路島から海峡を渡ったところにある明石市の明石市立天文科学館で開催された。
メンバーは、「はやぶさ」で有名なJAXAの吉川真准教授、sorae.jpにもコラムを寄せている大貫美鈴さん、そして女子高校生を対象にした宇宙教育プログラム「ロケットガールズ」の創始者、和歌山大学の秋山演亮特任准教授。
絶好調のトークで会場と一体になって盛り上がり、まさに「伝説のイベント」となった感じであった。訪れた方も、最新の宇宙開発の状況を、そこに携わっている人たちの口から直接聞くことができる、というチャンスに、大変満足されていたようである。
学会は、ふだんなかなか集まれない科学者や技術者たちが一度に集まる、絶好の機会である。そこで専門的な議論をして終わるのではなく、一般の人たちに最新の科学をフィードバックしていく、という試みを、これからも定着させていきたい。
宇宙教育はまだこれからの分野である。しかし、教育は子どもがいる限りなくなることがない分野であり、また生涯教育の需要はこれからどんどん高まるであろう。宇宙開発の最新の成果を、わかりやすく伝えていく。それを、教育という形でプログラム的に行っていくことは、将来の日本という国を作っていくための、基礎的な一歩になるだろう。というより、なって欲しいと思っている。
そしてやがては、宇宙教育の4つめの項目に「宇宙空間における教育」が加わる日が来ることを望みたい。
Written by 寺薗淳也
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