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ムーンな想い vol.04

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「インドの月探査衛星、チャンドラヤーンに注目!」

Chandrayaan
写真: 組み立て中のチャンドラヤーン探査機。Photo: ISRO/ISAC

インドと宇宙開発。

結びつかない人も多いと思う。しかし、インドの宇宙開発は、世界の中でもかなり進んでいる。

インド宇宙機関(ISRO)の設立は1969年。実に、日本の宇宙開発事業団が設立されたのと同じ年である。そして、1970年代には衛星とロケットの自主開発に成功。いまや、インドの宇宙開発は世界と肩を並べるほどに成長している。人工衛星の打ち上げ数は2007年末現在で43機を数え、これはアジアでは日本、中国に次いで3番目である。

そして、やはり日本と中国に次いでインドが向かおうとしているのが、月である。

インドの月探査衛星の名前は、「チャンドラヤーン」(Chandrayaan)という。正確には、「チャンドラヤーン1」となる。この「1」こそが、インドが月探査に対して並々ならぬ意欲を持っているということを、よく表しているといえるだろう。

インドの言葉サンスクリット語で、チャンドラヤーンとは「月への乗り物」という意味である。この衛星は、大きさ1.5メートル四方、重さこそ600キログラムを少し下回るくらいであるが、実は日本の「かぐや」の最大のライバルといっても過言ではない。

チャンドラヤーンに搭載される観測機器の数は合計11。「かぐや」にも迫る数である。通常、人工衛星は重量の問題やセンサー同士の干渉などを避けるため、あまり多数の機器を載せることはしない。その意味でもこの数は群を抜いている。

さらに、このセンサーのうち6つは、海外の機器なのである。アメリカやヨーロッパなどで開発された機器が搭載されている。中でも注目は、月鉱物マッパー(M3)と呼ばれる鉱物探査装置である。この装置は、「かぐや」に搭載されているマルチバンドイメージャと同じ原理で動作するものだが、JPLとアメリカ・ブラウン大学で共同開発されたもので、重さはなんとたった7キログラムしかない。それでいて、空間分解能は1ピクセルあたり70メートルである。さすがにマルチバンドイメージャには及ばないが、使い方によってはそれに匹敵する性能を発揮できるだろう。

ブラウン大学は、月・惑星の表層地質では世界的な成果を挙げているところだ。こういう人的な厚みの面も日本にとっては脅威である。

さらにミッション面も強力である。軌道高度は中国の「嫦娥」より低く、「かぐや」と同じ100キロ。ミッション期間も2年とされており、これは「かぐや」より長い。順調に進めばすぐれた成果を挙げることが期待できると同時に、「かぐや」にとっては、まさに強力なライバルの出現といえるだろう。

チャンドラヤーンの打ち上げは公式にはアナウンスされていない。しかしいろいろな報道によると、10月22日の朝ということになっている。11月初旬に月に到着し、2年間の予定で月を回る計画になっている。

インドは、今回の打ち上げを皮切りに、月・惑星探査、とりわけ自国での月探査に踏み出そうとしている。チャンドラヤーン1の後継機や、将来的な有人月探査などの話も出ている。ただ、貧富の差が大きなインドという国情で、宇宙開発にだけ巨額のお金をつぎ込めるかどうかはまだわからない。

いずれにしても、私たちのライバルはまた1つ、増えることになる。そして、彼らはやはり、長期的な視野に立ち、月探査を進めようとしている。日本がいま必要とされているのは、「かぐや」だけで月探査を終わらせるのではなく、継続的な意志を持って、プログラム探査、すなわち継続した探査を行うこと、そしてその探査を支える人材を育てていくことではないだろうか。日本が宇宙大国として5年後、10年後も世界の一角に名前を連ねていくためには、目先にとらわれない、長期的な視野が必要とされている。

Written by 寺薗淳也

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