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ムーンな想い vol.02

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「名前だけでも、月へ。」

Send your name to the Moon
Image credit: NASA/Junya Terazono

アポロ11号からまもなく40年。あの頃の予想では、21世紀には誰でも、月旅行に行けるようになっているはずだった。

しかし現実はというと、どうもそうはなっていないようである。確かに、旅行会社のパンフレットに月旅行が載る時代になった。JTBの宇宙旅行パンフレットには、月旅行のコーナーがあり、着陸はできないものの、月を1周して帰ってくる立派な月旅行ツアーが企画されている。しかし、その費用は120億円! 一般庶民はおろか、ちょっとした大金持ちでも、この金額を出すのには躊躇するだろう。

というわけで、私たちはしばらくは、自分の体を月まで持っていくことはできなさそうである。ならどうするか。「せめて、自分の一部だけでも」、あるいは「自分の名前だけでも」といった考え方があり得る。前者は「月面葬」などに代表される動きであるが、死んでから運ばれるというのではちょっと寂しいと思う。

であれば、いま、自分を月に連れて行くのに一番効果的な方法は、探査機に名前を乗っけてもらうというやり方になるだろう。
今年(2008年)10月に打ち上げ予定のアメリカの月探査機、ルナー・リコナイサンス・オービタに、あなたの名前を搭載しようというキャンペーンが行われている(6月27日まで)。

■Send your name to the Moon!
http://lro.jhuapl.edu/NameToMoon/

上記のサイトを訪れると、名前を入れるフォームがあるだけである。First Nameの方に名を(私であれば「Junya」)、Last Nameの方に姓を(私であれば「Terazono」)を入れるだけ。これさえ間違えなければ完了である(間違っても日本語で入れないように)。

このサイトはちょっと気が利いていて、希望者には名前入りの証明書をPDFで発行してくれる。上の写真が、その証明書である。コンピュータのファイルなので、手作りの証明書というわけではないが、それでも一緒に名前が月に行っていることを証明してくれるというのはうれしいものではある。

このように、一般の市民が気軽に宇宙開発に参加し、一体感を味わえるイベントというのは、本当にありがたいものである。考えてみれば、いま月を回っている「かぐや」も、一般公募でつけられた名前であるし、「かぐや」自体も、全国、全世界から寄せられた約40万人分を超えるメッセージを搭載して月を回っている。

応募した人は、自分のメッセージが月の周りを回っていることを、月を見上げる度に実感しているはずである。「あそこに行けば自分の分身がいる」という気持ちは、ある種の安心感として受け取られるのではないかと思う。

これからは、メッセージ募集から一歩進めて、同じ募集者同士を結びつけるような企画があるとよいのではないだろうか。例えば、もしすべての人がオンラインであれば、SNSのような形で、同じイベントへの応募者同士が語り合え、交流できる。そういう企画である。

かつて月探査情報ステーションでもそういうことを考えたときがあった。そのときのキーワードは「月面シムシティ」である。「シムシティ」(SimCity)とは、かつて一世を風靡した、コンピュータ上に仮想的な街を作り上げるシミュレーションゲーム。この月面シムシティでは、月面に仮想的な街を作り、その中に住むというようなコンセプトである。実際の条件そのものは月面と同じとして(例えば重力が小さいとか)、中にいる人たちは仮想的に月面の暮らしを体験するというものである。

残念ながら、予算不足、マンパワー不足、時間不足の「3つの足りない」が重なり、企画は実現していない。しかし、企画をあきらめたわけではない。むしろ、月探査が盛んになり、一般の人が探査との関わりを持ち始めたいまこそ、こういう企画が受け入れられる時代なのではないだろうか。

「名前だけでも、宇宙へ。」の次は、「バーチャルに、宇宙へ。」もちろんその先は「肉体も宇宙へ。」となってくれると、ありがたいのだが。

Written by 寺薗淳也

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