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O君と銀河 vol.05
May 23 - 2008 - 谷口義明

Image credit: Yoshiaki Taniguchi
10.エピソード X
幾多の幸運に恵まれ、僕は大学に入学した。生まれてから18年、僕はずっと北海道で暮らしていたが、その北の地を離れ、みちのく仙台で過ごすことになった。
天文学を志した僕が入学したのは、東北大学理学部物理系だった。この『物理系』というのが少し厄介だ。なぜなら、天文学を志したにもかかわらず、最初の2年間(注1)は天文学科に属しているわけではないからだ。これは心もとない。
この『心もとない』という表現はじつはかなり正しい。なぜなら、物理系に入ったからといって、天文学科にいけるかどうか分からないからだ。学科配属が決まるのは3年生になるときだ(現在では、状況が変わっているので注意)。
当時(1973年)、物理系の学生は100名ほどいた。教養部を終えて、3年生になるとき、物理系の学生の100人は配属先を決めなければならない。天文学科は5名、地球物理学科は10数名、残りは物理学科(当時は第1と第2学科に分かれていた)の配属となる。『残りは物理学科』という表現は、誤解を招くかもしれない。そもそも物理系なのだから、物理学科が王道なのだ。物理系の中に、物理学と深く関係する天文学科と地球物理学科が用意されている、と言うほうが正しい。
問題は『天文学科の定員は5名』ということだ。別に天文学科が優れているとか、特別な学科というわけではない。特別さがあるとすれば、それはこの定員が少なさなのだ。世の中、そんなに天文学者のニーズがあるはずもないので、妥当な定員数ともいえる。
定員が少ないと、当然競争率が高くなる。これはまずい。それでも僕は、天文学科に行く人は“世捨て人”のような学生だけだろうから、そう大変ではないだろうと高をくくっていた。性格が楽観的なのだ。
ところが、じつはそうでもないことがわかった。物理学科の学生のうち、約半数は天文学科に興味があるという話もあったからだ。もしそうだとすれば、大変だ。50人中の5人しか天文学科にいけないのなら、競争率は10倍になる。これでは、大学に入るより大変なことになってしまう(注2)。これは本当にまずい。
というわけで、どうにも心もとない状況に陥ってしまった。大学に入ったからといって、自動的に明るい生活が待っているわけではない。当然といえばそれまでだ。とにかく、油断はできないと思った。
11.エピソード XI
だが、大学生は油断する。厳しい受験競争を闘って、ようやく目指す大学に入った。しかも最初の2年間は教養部だ。教養を身につけるには遊ぶしかない。まあ、これは極論だが、やはり遊び始めるのが大学生なのである。こう書くと、大学生とは何ぞや、と言われそうだが。
一つはっきりしていたことは、自由に物事を考える時間ができたことだ。これは正直ありがたかった。自由に物事を考えることを“遊び”と思えば、やはり大学生には遊ぶ時間がたっぷりあるということになる。大学生は3日やったら止められない、という感じだ。
当時は、パソコンもなければ、携帯電話もない。ましてやインターネットがあるはずもない。電子ゲームの走りである『インベーダー・ゲーム』がはやり始めたのも、教養部を終えてからだ。マージャンやパチンコが両雄の時代だったのだ。ここで、当時の大学生とマージャンやパチンコとの関係を論ずるのもなんなので、物事を考える方の“遊び”の話をしておこう。
■注釈
注1:当時の大学には教養部というのがあって、最初の2年間はどの学部の学生も、そこで過ごすことになっていた。
注2:当時、理学部入学のの倍率は3-4倍程度だった。
(次回に続く)
Written by 谷口義明
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