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太陽系外生命 vs 火星有人
January 8 - 2007 - 井田茂

Image credit: NASA
太陽系外の Super-Earths(地球の10倍程度の質量を持つ固体惑星)をトランジット法で探索するフランスの Corot 宇宙望遠鏡の打ち上げが成功した。2008年には、同様の方法でさらに高精度のNASAの Kepler 宇宙望遠鏡の打ち上げが予定されており、Super-Earths はもとより、Earths(地球程度の質量を持つ固体惑星)の発見も期待されている。これまでに発見された太陽系外の巨大惑星のデータに理論的考察も加えると、η_Earth (銀河系の太陽型恒星が海を持つことが可能な軌道・質量を持つ惑星を持つ確率)は10%はあるのではないかというのが、最近の天文学者の感触である。Corot や Kepler はきっと多数の Super-Earths や Earths を発見してくれるだろう。
Corot や Kepler が発見できるのは、Super-Earths や Earthsでも、軌道半径の小さなものになり、それらは海を持つには温度が高すぎるかもしれない。海(液体の水)が存在できる温度の軌道半径の領域(ハビタブル・ゾーン)の Super-Earths や Earths の探索は、惑星公転による恒星のふらつきを宇宙望遠鏡による高精度位置観測でやろうという、NASA の SIM (Space Interferometry Mission)と呼ばれる(2015年頃)計画がある。SIM は間接的な検出であるが、ハビタブル・ゾーンのSuper-EarthsやEarthsの直接撮像をして、大気の組成分析から、それらの惑星の光合成生命の存在を(間接的にだが)検出しようというのが、NASAの TPF(Terrestrial Planet Finder) やESAの Darwin宇宙望遠鏡計画 (2015~2020年頃)である。
η_Earth どころか、太陽系外生命の発見、太陽型恒星が生命を持つ惑星を持つ確率までわかるのは、時間の問題となったかに見えた。
しかし、NASA の SIM と TPF は無期延期となった。ESAの Darwin も、もともと予算難から TPF との合体を計画していたので、これも事実上、無期延期。
SIM と TPF の無期延期は、ひとえにブッシュ政権下のNASAの宇宙計画の方針大変更にある。月や火星への有人飛行に投資することにしたのである。この有人計画には莫大な予算が必要なので、他の計画は大きく削られた。
科学者からすると、火星有人探査にはあまり魅力はないであろう。少なくとも僕は全く魅力を感じない。多くの科学者が価値をおくのは、新しいことを知ることだ。すでに無人ローバーが探索しまくった後に人が行っても、どれだけのことがわかるのか疑問だ。
太陽系外生命の探索計画を捨てるほどのこととは思えない。太陽系外にも地球のような惑星があること、そこに生命がいること、その確率がわかることというのは、人類の世界観を揺るがすような事だ。多くの科学者にとっては、こちらの方が遥かに重要だろう。
しかし、科学者ではない一般の人にとってみたら、どうなのだろうか?宇宙探査などというものは、日常生活で何か便利になったり、病気が直ったりという実益は全くない。したがって、宇宙の探査には大半は税金を投入するしかなく、つまり、納税者が価値を認めるものでなければ予算を得ることはできない。科学者の感覚は、一般の人とは必ずしも一致しないはずだ。もしかしたら、太陽系外のバクテリアのような下等(?)生命がいる間接的証拠を得ることなんかより、火星に人が到達するという方が一般の人にはイメージしやすく、フロンティア・スピリッツに溢れてわくわくすることなのかも知れない。
日本では、トップダウン的に米国の火星有人に協力せよとの声も出ているようだけど、僕は、欧米がとりあえず投げ出してしまった系外生命の探索を、日本がリードしてやればいいと思う。日本人は文化的・宗教的に、欧米人よりも、系外生命、生命の起源などという根源的な問題を客観的に扱えるとも思うし。日本の納税者であるみなさんは、どう考えますか? 米国の火星有人への協力のほうが魅力的ですか?それとも・・・
Written by 井田茂
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