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世界むるるん紀行 Vol.05

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「お隣の異次元空間。韓国人情報誌」 
 ある冬の真夜中。私は友人の平田(仮名)と二人で、夜の歌舞伎町をうろついていた。目的地は──
 韓国全羅南道出生! 三歳のとき、夢の中に現れた千手観音から神通力を与えられ、白馬に乗ってお釈迦様と会見! 釈迦から「人間界に戻って人々に未来を見せよ!」と命じられ、その後紆余曲折あって、どういうわけか歌舞伎町の裏通りの地下にて、路頭に迷う若い女相手に占いや悪霊払いをしている!……という韓国人尼の焼肉屋兼寺院だった。
 でまあ、肝心の寺院(兼・焼肉屋)では敵意の混じった完全取材拒否を食らい、正直言って書くことは皆無。したがって今回は地下寺院探索の途中、通りがかった民家の軒先に重ねてあった韓国人向けフリーぺーバーをご紹介したい。
 そもそもプノンペン在住の私が、恐れ多くも歌舞伎町ネタで文章を書くなど、その道のプロからすれば身の程知らずもいいところ……と言いつつ、我がファミリーと歌舞伎町には意外な接点があって、今から20年ほど昔、ウチの親はコマ劇場の横でとある飲食店を経営していたのだった。
 ぶっちゃけ、一年持たずに潰れてしまったのだけど、当時小学生だった私は「試食」と称する腐りかけた食材の処理に幾度も駆り出され、おかげでいまでも歌舞伎町にはそこはかとないトラウマを感じる次第であります。他にも色々あるんだけど、さっさと本題に入りましょうか。

 皆さんわかりきっていることだろうが、新宿から大久保にかけての一帯はとにかく外国人だらけ。
 泣く子も黙る中国革命の父・孫文や蒋介石も、留学時代はこの界隈に住んでいたらしく、中国の国家元首を二人も排出している点を考慮するに、日本で最もセレブな町としてこのへん一帯を再評価する必要があるのかもしれないが、そんな新宿・大久保の二大勢力は言うまでもなく中国人と韓国人である。
 以前は職安通り(大久保と歌舞伎町の軍事境界線)を境に、南(大久保)は韓国軍。北(歌舞伎町)はどちらかというと中国軍優勢という情勢が続いていた。
 ところが、あの忌まわしい眼鏡男のブームも手伝い、今や中国勢は完全に日陰者。ホステスとヤクザの頭数なら中国だが、金を落とす人口で言えば韓国人の勝ちだろう。観光バスでやってきて、ばんばん金をつかってますから。

紙

 長い前置きが終わったところで、問題のフリーペーパーに話を戻す。無料とはいえ250ページオーバー。手にとればずっしり肩に来る重量感。日本人の読者など想定外のため、なにからなにまで全てハングル。誌名すらお伝えできないのが非常に残念だが、読めないのだから仕方ない。
 ぱらぱらめくれば広告ばかり。というか、ぜんぶ広告。そんなもんわざわざ紹介するな! と言うなかれ。我が国のスカしたフリーペーパーでは中々お目にかかれない、一見の価値ある妙な広告が目白押しなのだから。

犬

 まずはこれ。犬の写真に「33000円」という謎の価格。ちなみに犬の下には猛り狂う雄牛の群れの写真に「36000円」の値段が。一体何を売りたいんだろう。

ホテトル(たぶん)

精力剤

 旅する男たちの鼓動を熱くする出張風俗の広告はもちろん、もしものための精力剤に加え、得体の知れない各種サプリも発売中。
 歌舞伎町まで来て、わざわざ韓国系の出張風俗を利用しなくとも……と感じつつ、バンコクで日本人経営の怪しげな按摩店に予約を入れてしまう自分を省みると、頭ごなしに否定はできない。

坊主とホテトル
 続いてこちらの写真に御注目。下段はあからさまな風俗だが、上段の広告はどの角度から見ても坊さんである。
 坊さんと風俗の広告を同ページに配置する意図はさておき、こうした良くわからない宗教系の広告が異常に多いのも特徴。自分の生き方に疑問を持った風俗嬢が人生相談でもするのかな?

豚ババア

絶倫千葉栄町

 引き続き神懸かり広告。豚を背負って巨大竹馬に乗るのが一体何の修行になるのか? 凡人の私には理解できないけど、神通力を鍛える秘法に違いない。そう思いたい。
 冒頭で触れたエスパー尼僧といい、異国の地で超自然パワーをあてにする韓国人がいかに多いか、また、それを目当てに商売を始める超能力者がいかに多いか……。
 どうでもいいけど、ホテトルや精力剤はともかく、坊主の広告まで揃いも揃って携帯電話というのがまた何とも言えず、果たして我々が異国で路頭に迷った際、風俗店と同じページに広告を載せる坊さんの携帯に助けを求めるだろうか? 信心深いのもいいけれど、何事もほどほどが一番かもしれない。

 はてさて、風俗やら祈祷やらで財布の中身がすっからかんになっちゃったら──

ヤミ金

 言葉はわからずともオーラでわかる、まさに至れり尽くせり。
 こういう感じで、さらりと見ただけでも一時間は暇が潰せる充実の内容。どうせタダなんだから、歌舞伎町にお越しの際はぜひ一部ひっこぬいて、異空間トラベルをお楽しみください。

Written by クーロン黒沢

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