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世界むるるん紀行 Vol.04

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「あの世のメインマシン」 クーロン黒沢


 我々の部屋にはあらゆるものが溢れている。小さな部屋にパソコン3台。画像やら動画の詰まった貴重なハードディスク。無理して買ったブランド物の腕時計。ローンの残ったプラズマテレビ。飽きたまま放置されたゲームソフトの山。プレミアマンガの全巻セット。お宝アニメのDVDボックス……。ねえ、明日死んだらどうするつもりなの?

 古代中国では、家財道具はもちろん召使いから家来から愛人に至るまで、主人とともに埋めてしまうのが流儀だった。
もちろん現代では立派な犯罪だし、そもそも火葬なので真似はできない。
 かの国では「焼いたものはあの世に届く」と固く信じられているため、昨今では「あの世で欲しいものがあったらこれで買いなさいーー」という意味をこめ、「紙銭」という紙製のお金を棺桶に入れ、遺体と一緒に焼いてもらうそうだ。

 日本にも棺桶に六文銭の描かれた紙を入れ、死体と一緒に燃やす習慣がある。六文銭は三途の川の渡し賃なのだそうだが、冷静に考えてみると、たった六文じゃコーラひとつ買えやしない……。
 勝新の葬儀の際、中村玉緒は棺桶の中に500万の現ナマを入れてやったそうだが、中国でも昔の豪族は同じことをしていた。ただ、現代人が勝新の真似をするのは至難の業。なにせ、旅立つ本人が既に死んでいるのだから、後はすべて遺族頼み。金持ちであればあるほど、残された人々は遺産の分配で頭が一杯、燃やす金があるなら俺にくれ! と言いたい気分だろう。
 地獄の沙汰も金次第。つまりは六文なんてケチな額じゃなければ良いわけで、それが証拠に中国人の使う紙銭は札束が基本。町の葬儀ショップに行けば、ありとあらゆる形態の紙銭が景気よく並べられている。

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 妙に華やかな葬儀用品店

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 店頭にならぶ紙銭

 ご覧のように、いきなり米ドルのコピーが山と積んであるのはいいとして、銭でもなければ人民元でもなく、あの世に持って行くのが国際通貨のドルであるというところに、日本人と中国人の死生観の違いが現れているような気がしないでもない。
 米ドル以外にも、閻魔大王の肖像が描かれた「冥府銀行発行」の通貨が叩き売られている。

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 言うまでもなく米ドル
 これが一番売れてるとのこと

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 こちらはベトナム人用でしょうか?
 50万ドンの地獄通貨

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 お店で一番高級なフルカラー通貨
 裏面には「BANK OF HELL」の刻印

 紙銭は葬儀だけに留まらず、お盆や清明節(春のお盆みたいなもの)など、なにかあるごとに景気良く豪快に燃やされる。
 なんせ、燃やせば燃やすだけあの世の親族が裕福になり、自分たちにも御利益の配当が回ってくると信じているので、台湾だけでも年間300億円オーバーの紙銭が売買され、燃やされ、仏教行事のたびに深刻なレベルで大気が汚染されるのだ……。
 ゼニだけではない。紙銭と一緒に紙のお菓子やら料理やらを焼き始めたのがエスカレートして、いまでは高級車から豪邸から、果ては紙製の愛人まで副葬品として燃やすという。 私が調査した葬儀店でも、地獄のパスポートと天界行きの航空券が売りに出されていた。

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 成金風・死出の旅セット
 金のべ棒・金貨・金ブレ・金時計

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 あの世の携帯電話
 地獄の電波が七本立ってます

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 時計はローレックス
 でも、偽物っぽい

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 BMW製SUV・運転手付き

 毒々しい色彩で彩られたこれらの副葬品はどれも手作り。思わず部屋のインテリアにひとつ欲しいかも……と、不吉な事を考えた読者の方にお勧めするのが、台湾の副葬品通販サイト「 往生禮儀用品」である。
 副葬品のみならず、骨壺から仏壇からありがたい掛け軸まで、死に関するモノならなんでも手に入る! というわけで、当店お勧め商品のなかから、面白そうな副葬品をいくつかピックアップしてみよう。

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 まずは身だしなみから

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 あの世でもヒゲはのびるようです

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 少々形式は古いが、充電器付き
 仕事でもさせられるのだろうか?

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 中国人といえばギャンブル
 死んでも博打はやめられない

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 中国人と言えば喫煙
 肺ガンに気をつけましょう

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 3階建ての豪邸
 庭には紙の警備員が常駐

 とまあ、色々売っている。
 3階建ての豪邸クラスになると、お値段も1万台湾ドル(3万円オーバー)と、燃やすのがためらわれるほど高い。で、ひげそりまで売ってるんだから、もしかしたらもしかすると……と思ったら、やっぱりあった。

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 形から想像すると、ウィンドウズマシンか?

 ノートパソコンを焼いたはいいが、2年も経てばOSもマシンも旧世代。そしたら遺族は最新スペックのマシンを買い直し、火の中に投じなければならないのだろうか。地獄にもISPはあるのか? アプリは? と疑問は尽きないが、真相は死んでからのお楽しみ。

Written by クーロン黒沢

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