TOP > COLUMN > クーロン黒沢 > 世界むるるん紀行 Vol.02

世界むるるん紀行 Vol.02

[PR]

「360もいいけど、男は64や!」 クーロン黒沢

 XBOX360買ったかい!? (馴れ馴れしげに)

 まだ買ってません……という奥ゆかしい貴方。360もいいけど64もいいでえ。少なくとも五分の一の価値はあるでえ。というわけで、今回のむるるん紀行はコモドール64のお話。

31.Kowloon1228pic1.jpg

 コモドール64。通称C64は1982年8月(23年前)に米コモドール社が発売した「大容量メモリ64キロバイト搭載・16色表示可能!」という、とても欲張りな家庭用パソコンである。

 当時、アメリカで最も幅をきかせていたアップルⅡよりも高性能。機能的にちょっと負けていたライバルのアタリ800には価格で勝負を挑み、デパートやおもちゃ店など、それまで未知の販売ルートを開拓したことで順調にシェアを伸ばし、生産中止になる1993年までに軽く2000万台以上が出荷され、15000種類ものソフトがリリースされた。

 しかしながら当時の日本ではアップルⅡの勢いが強く、1ドル200円オーバーの時代だったこともあって、ごく一部のキワモノ販売店が好事家たちにこっそり販売する程度の普及率。

 その頃高校生だった私も、そんな閉鎖的ショップでチラリと拝ませてもらった程度なのだが、あのときの興奮と驚きと羨望。そして、逆立ちしても買えないというやるせなさはしっかり脳裏に焼き付いている。

 そんなC64は特にヨーロッパでバカ売れ。現在でも東欧を中心に熱心なコモドールファンは数多い。

 で、彼らは決して「なつかしいから」コモドールをいじっているのではなく、10年前と同じようにばりばりプログラムを開発し、互いに腕を競っているという状況なのであった。

 たった今現在もリアルタイムでアップデートされているオリジナルOS「コンチキ」は、マルチタスクでGUIなデスクトップ。気力があればインターネットも可能。根性があればウェブサーバまで構築できてしまうという代物。

31.Kowloon1228pic2.jpg

 今更こんなもの作ってどうすんだ! と驚くなかれ、世の中にはインテレビジョン用のオリジナルOSなんていうものもあって、最近の流行りなのかどうかはさて置き、C64にマウスは無いので全てキーボード操作。ネット接続するには誰かが手作り販売している外付けのネットワークカードを購入せねばならず、敷居は恐ろしく高い。おまけに日本語など表示されない。

 紹介しといて何だが、これでインターネットを楽しもうと思う人は、かのチンギス・ハーンに仕えた耶律楚材ばりのマゾと断言できる。以上は「こんなこともできますよ」という長大な前フリで、本題はここから先の話。

 C64といえばゲームである。恐らく1万本近く存在するであろう専用ゲームの数々は、C64コミュニティの多くが細かいことにあまりこだわらないヨーロッパの片田舎にあるという地政学的な影響から、ほとんどがエミュレータ用のイメージファイルに変換され、ほぼフリーソフト扱いで気前良くばらまかれている。


31.Kowloon1228pic3456.jpg


 昔のゲームだけにサイズは極小。ダウンロードは一本あたり0.8秒。それだけに正直「0.8秒だからしょうがねえ」レベルのものが殆どなのだが……。数千種類もあるだけに、中には名作の誉れ高きタイトルも少なくなく、エミュレータファンには涎の止まらない状況と言いつつ、ぶっちゃけ、携帯電話のエミュレータでも軽く動かせる程度の代物。

31.Kowloon1228pic7.jpg

 ただ、携帯電話やら最新PCのエミュレータで20年前のゲームができたとしても、あまり感動は覚えませんよね?

 もしもそれが実機だったらどうだろう。埃とカビまみれの安っぽい筐体で動いているとしたら、きっと見方が変わるに違いない。

「うああ、がんばってるな……。あ、あんまり無理すんなよ」的な、全力疾走する爺さんを慈しむような感動である。

 ただし、実機もそうだがモノホンのフロッピーゲームもまた、所詮は十年、二十年前の代物。保存状態によってはカビか生えるのも朝飯前。なにもせずとも刻一刻と土に返りつつあり、何時ぶっ壊れるかは神のみぞ知るところ。

 そもそも、前述した合法なんだか非合法なんだか、はっきりしないサイトでバラまかれているのも、エミュレーターでの使用を前提としたイメージファイルなので、そのまま実機で遊ぶのはほぼ不可能。結果、そんならエミュレータでいっか──となり、実機で遊ぶ醍醐味の20パーセント程しか味わえないという悪循環。

 そんな悪循環をぶった斬ってくれたのが、"X1541"なるケーブルの存在だった……。

 詳しくはこことか、ここあたりをご覧いただきたいが、C64に接続されたコモドール1541(専用ディスクドライブ)にX1541を差し込み、もう片方をPCのシリアルポートと繋ぐと、PC側のハードディスク内に入ったディスクイメージをモノホンのC64用フロッピーを扱うがごとく、そのまんま実機に読み込むことができてしまう! というもの。

31.Kowloon1228pic8.jpg

 このケーブル、その道のショップで手作り品が購入可能だが、鬼のように単純な作りなので自作もかんたん。

 PC側でイメージ転送をコントロールする専用ソフト"64HDD"

もまた、フリーソフト。で、でも……このソフト、基本的にMS-DOS専用となっているため、動作が保証されているのはウィンドウズ98まで。2000やXPでは使えない──。

 ぬか喜びさせやがって……と思いきや、送料込み14ドル95セント出せば、PC側のOSに依存せず、あなたのPCをC64ゲーム専用サーバにしてしまうブートCD版の64HDDが手に入ってしまう!

 も、もう言うことなし!

 ……と、!を多用しつつ熱っぽく語ってみましたが、これ聞いて「すげえ」と思う人、世の中にどれくらいいるのでしょうか。

 まあ、騙されたと思ってトライしてみませんか。四年くらいは退屈しないで済んじゃうから。

 2000万台も(3000万台という説もーー)生産されただけに、中古のC64入手は比較的容易だ。

 コレクター向けの法外プレミア品を除けば、概ね五千円程度で手に入る。マメにオークションをチェックしてる人なら、たまに現れる数百円の捨て値出品者と出会うのも難しくないだろう。

 捨て値で本体を手に入れたとして、本体よりも外付けディスクドライブ「コモドール1541」のほうが、比較的品薄で入手が困難。でも、マメに探せば売ってる奴は大勢見つかる。

 ひとつ、お子さんの進級祝いに1台どうでっか? 根性つきまっせ。


【おしらせ】
「裏アジア紀行(幻冬舎)」 発売中!
コモドール64の話はありませんが、中国と貧乏と錬金術に興味のある方はぜひ!

Written by クーロン黒沢

クーロン黒沢 記事一覧


スポンサード リンク


COLUMN 記事一覧



TOP - COMPANY - COLUMN - NEWS - TRACKING - ABOUT US - PRIVACY POLICY - STAFF - CONTACT - PRESS RELEASE - SITEMAP