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宇宙ルネサンス序章 Chapter.2

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「世界がひとつに統合される予兆<1600年>」  池上雄太

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今から405年前、1600年の南イタリアで、ある思想家が人類史上初めての「革命」のプロジェクトを計画した。仮に名付けるならば、「ユートピア・ローンチプロジェクト」。テロルや簒奪、あるいは民衆一揆のような「抵抗」ではなく、概念上の「理想郷」というヴィジョンに基づいてハイ・リスクな行動を犯したその人物は、トマソ・カンパネッラ。

遡ること1516年、ジョヴァンニ・ピコ・デッラ・ミランドラの伝記の英訳も手掛けたイギリスの文人、トマス・モアは、その有名な著作『ユートピア』を発表した。"U-topia"、Uは否定の接頭辞、topiaは場所、つまり「どこにもない場所」。モアが描いた理想の地は、「どこにもない」という、詩人的なアイロニーのもとに描いた理想郷のヴィジョンでありスタディである。若い頃にエラスムスと出会い、またジョヴァンニ・ピコの思想に多大なる影響を受けながらも、堅実な法律家として成功し政界でも活躍したモアは、体制のなかで生きる人生を選択し、理想郷にはほど遠い世界に居ながらも平和に生きた住人ならではのメッセージとして『ユートピア』を送り出す。

時は流れ、ルネサンスの叡智を身につけながらも、完全に破天荒なまでのバイタリティをもって、ユートピア実現のプロジェクトに邁進した、トマソ・カンパネッラが現れる。カンパネッラは、ヘルメス文書と新プラトン主義を探求する自然魔術師であり、カトリック教徒でありながらも輪廻転生を支持した、キリスト教世界の異端児そのものというべき思想の持ち主であった。
1568年に南イタリアの貧農に生まれたカンパネッラは、14歳でドミニコ修道会に入会し、知的な"アメリカンドリーム"の階段を駆けのぼるが、ユダヤ教徒との交際を咎められ投獄される。その後、スペインの占領下で搾取される故郷の貧しさを目の当たりにしたことで、スペインからの独立を画策する「革命」のプロジェクトに着手する。
占星術の計算により、革命が成功しカンパネッラのユートピアが実現するであろう年が「1600年」であることを導き出した。そこに向けて、トルコ帝国を含むさまざまな有力者との協力関係を組織しプロジェクトを進める。しかしながら、仲間の密告により頓挫、そして逮捕され、以後27年間にわたる長い獄中生活を送る。

その過程で、モアの『ユートピア』と双璧を成すユートピア論『太陽の都』が執筆された。

彼の生きた時代の百年間は、過去四千年の歴史よりも多くのものを生み出し、同時に過去五千年間よりも多くの書籍が出版され、また羅針盤・印刷術・鉄砲という偉大な発明は、「世界がひとつに統合される予兆」に他ならない。カンパネッラは、ここでそう主張するのである。

カンパネッラは、占星術で何を幻視したのだろう。ジョヴァンニ・ピコは占星術の絶対化をこの100年以上前に否定する著作を発表していたはずであるのに。

「1600年」には成され得なかった、多宗教が融合するルネサンス思想に基づいた、ユートピアの実現。これは、当時と同様に世界を統合する「偉大な発明」を享受しつつある私たちの世代へ、繰り越されている気がしてならない……。

Written by 池上雄太

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