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エキゾ小宇宙日々精進 Vol.2

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「DJ宇宙の構築術指南」 サラーム海上

このところDJを頼まれることが増え、毎週末のようにクラブやバーでDJを行っている。もちろんインド音楽?中近東音楽しかかけないが……。そろそろ肩書きに「よろずエキゾ風物ライター」の他、「よろずエキゾ音楽DJ」とも書き添えてもいいかな。ただミックスの練習をするよりも日々買い&増え続けている新作CDを聴いてる方がよっぽど好きなので、ミックスとかいつまで経っても上手くならないし、それで職業として表記するのもおこがましいか……そんなことを思っていた矢先、沖野修也さん著の書籍『DJ選曲術・何を考えながらDJは曲を選びそしてつないでいるのか?』に出会った。これが、プロのDJがどうやって曲を選んでいるのか論理的に記した選曲論から、12名の各ジャンルを代表するDJのミックスCDを教材にプロの選曲を緻密に分析した世界初とも言える選曲メソッドまでが詰まった画期的な本だった。

前半は選曲という行為の意味、職業としてのDJの存在意義から始まり、DJスタイルの確立方法、選曲におけるストーリー性の持たせ方、そして現場でどうやってレコードを選ぶかまでが書かれ、DJを目指す人には実用的な内容だ。その上、数ページ毎にその項目のまとめとして自身の経験に基づく含蓄あるオレ節が太字で掲載されている。曰く

「テーマなき選曲は着る人のいないスタイリングと同じ!」

「伝えたいことがないなら選曲する必要はない!!」

「個性的な選曲は想像力に満ち溢れ、

 時に凡庸な楽曲を凌駕し、

 大きな感動を与える!!!」

いやあ、DJのテクはなくとも人に聴かせたい音楽、広めたい音楽だけは腐るほどあるオレとしては非常に勇気づけられる言葉デス。早速ページの端を折り、ボールペンでその行に線を引いた。DJ選曲論はあっと言う間に読み切ってしまったが、これらの標語を読み返すために、今後何度となく手にとってしまいそうだ。

本の後半は市販されている様々なジャンルの有名DJのミックスCDを曲順に並べ、音楽ジャンル、音楽的要素、周辺情報などを20数項目に分類し、前後の曲におけるそれらの要素の増減数値を加え、曲と曲がどのような要素で繋がっているかをチャート化しわかりやすく視覚化している。具体的にはジャンルではハウス、アフロ、ヒップホップなど、音楽的要素では男性ボーカル、四つ打ち、エレピ、ダブ処理の有無、歌詞のメッセージ性などで分類されている。名DJが次の曲を選曲するには必ず何らかの理由があるわけで、その理由を一曲ごとに緻密に分析している。これには目からウロコが落ちる思いがした。

毎晩のように世界中のどこかで、DJのプレイする音楽と一体化しているオーディエンスがいるわけだから、そこには深遠ながらも厳密に定義出来るテクニックがあっておかしくないのだ。今まで感性という名の怠慢や水商売独特の縄張り争いなどに隠され、語られることのなかったDJメソッドだが、見渡すとオレの周りだけでもDJを職業にしている人間は十数人いる。都内だけでもDJをメシの種にしている人間は100人以上いるはずだ。DJが若者の人気職業上位にランクインするようになって随分経つし、各種専門学校にもDJ講座があるくらいだ。この本が元になってこうしたDJ論がもっとおおっぴらに語られるようになればDJとそれを取り巻くクラブ音楽シーンも更に活性化するだろう。

 実はオレは沖野さんとは数年前まで同じマンションに住んでいて、お隣さん同士だった。以前は夜中のクラブで沖野さんのプレイにもしばしば出くわしたり、パーティーやライヴ会場で会って話をする機会があったのだが、自分でパーティーを始めると、なかなか他人のパーティーに行けなくなってしまい、最近は会う機会もなくなってしまっていた。お隣さん同士だった時にもっと話をすれば良かった。


沖野修也 『DJ選曲術・何を考えながらDJは曲を選びそしてつないでいるのか?』
リットーミュージック

Written by サラーム海上

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