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I Feel Space _ 宇宙を感じる音楽体験! Vol.02
December 1 - 2005 - 浅沼優子
「還って来た戦士たち」 浅沼優子

前回のジェフ・ミルズに引き続き、今回のデトロイト・テクノ界の重鎮をご紹介。いきなり立て続けにボス・キャラばかりで恐縮ですが、出ました。ドン!UR。そう、アンダーグラウンド・レジスタンスです。何と、来る12月23日、8年振りに彼らのフル・アルバムがリリースされます!「8年振りのフル・アルバム」と言うと、前作からずいぶんブランクが長かったように聞こえますが、実はアルバムという形態で作品を出していないだけで、7インチや12インチのレコードはガンガン出しています。彼らは様々な編成・名義を使い分け、それぞれのコンセプトに基づいた多様な作品を、簡素なラベルを貼っただけのアナログ盤で約15年間、世界に発信し続けているのです。
彼らはその名前が示す通り、「地下闘争」集団なので、ほとんど姿を現しません。顔を見せることはまずないし、インタビューなどにもめったに応じない。URはマイク・バンクス氏、通称マッド・マイクを中心に、彼と同じ理念を掲げる仲間たちで形成しているテクノ・ユニットであり、レーベルであり、音楽アクティビスト集団であります。人前に現われるときは大抵バンダナやスキー帽で顔を覆い、服装は黒尽くめという、まさにゲリラ部隊のような出で立ち。そんな彼らの宿敵は、彼らが「プログラマー」と呼ぶ、金儲けのために人々の創造性を制限し、画一的なフォーマットに押し込めようとするメジャーエンターテイメント産業、及びそうやって人々の視野を狭め、思考を停滞させ、問題から目を反らさせようとするその他の様々な勢力。彼らは徹底的に、これと闘い、抵抗し続けています。完全自主制作を貫き、製造から流通まで、自分たちの手でやる。プロモーションも一切なし(ステッカーとウェブサイトくらいか)。本当にレコード盤(作品そのもの)とクチコミだけで世界中に熱狂的なファン・ベースを築き上げました。

彼らはアーティストとしての個人を表に出しません。半分以上のレコードには、プロデューサー名のクレジットすらなし。URの信念では、音楽が全てだからです。どんな容姿の、どんな性格の人間が作っているかなんてことはどうでもいい。人間はいつか死ぬけれど、優れた音楽は時代を超えて生き続けることが出来る。マッド・マイクは、「だから、音楽は人間よりも偉大なのだ」と語っていました。レコードになった瞬間、曲は作った者の手を離れ、みんなのものになるんだそうです。そんな訳で、今回も作品と制作過程に関しては謎のままにされている部分が大きいのですが、確実に分かっている事もいくつかあります。それは、URのメンバー何人かが今年の夏に極秘に来日し、神戸に滞在中に制作されたものであるということ。そして、それが34曲というボリュームの大作に仕上がったということ。
『Interstellar Fugitives Pt.2 : Destruction of Order』と題された今作は、8年前にリリースされた『Interstellar Fugitives』の続編。URと言えば、今年はのっけからGalaxy 2 Galaxy (G2G)という別名義のユニットで初めてのベスト盤CDを発売し、Submergeツアーと「メタモルフォーゼ」(野外パーティー)で二度の来日ライブを行って大きな話題となりましたね。しかしながら、G2Gはアップリフティングで前向きな側面を表現しているのに対し、このInterstellar Fugitivesシリーズは、ひたすらストレートにダークなリアリティを表現しています。だから音はハードで、速くて、攻撃的。同じコインの表と裏のようなんです。
Interstellar Fugitivesは、直訳すると「星間逃亡者」という意味です。地球全体を支配下にしようと目論むプログラマーに、ゲリラ戦を挑む戦士たちのこと。プログラマーが植え付けようとするネガティブなオーダー(秩序)に、ポジティブなカオス(混沌)を用いて対抗します。そんな彼らがアジアで繰り広げる闘い。デトロイトのゲットーから全宇宙と交信する音楽、これぞハードコア・エレクトロ!デトロイトのテクノ・アーティストが「宇宙」や「未来」といった概念を好んで使い、タイトルに用いたりするのは、現実世界の辛さや厳しさ、そしてそれが抱える深刻な問題を知っているからこそ。それは現実世界からの逃避ではなく、むしろその延長です。未知な分だけ、そこに希望を見出すのだと思います。そして彼らの信じる音楽の偉大さを表してもいる。
それではヘッドホン装着、ギュイーンとUR『Interstellar Fugitives Pt.2 : Destruction of Order』で宇宙を感じてみましょう!
【関連URL】
UR オフィシャル・サイト:
http://www.undergroundresistance.com/
Underground Gallery:
http://www.undergroundgallery.jp/
Written by 浅沼優子
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