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宇宙の歩き方 Vol.10

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2つの宇宙旅行の違い

最近話題になっている宇宙旅行には、Dice-Kが選んだ国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙旅行と、2,000万円程度で行けるお手軽な?宇宙旅行の2種類がありますが、皆さんはこの違いの意味は分かるでしょうか?
後者はNASAが宇宙飛行士と認定する高度100kmは越えるものの、地球は周回せず、そのまま帰還するサブオービタル飛行(弾道飛行)です。
それに対して、Dice-Kが挑むISSへの旅行の場合は高度約360kmの軌道周回飛行になります。

値段と高度以外にも、日数(ISSへの飛行の場合の約10日間に対して、約1時間の飛行)、訓練内容(ISSの場合、最低半年間の訓練+ロシア語の勉強が必要なのに対して、4, 5日間の準備期間のみ)、医学検査の厳しさ(ISSの場合は身体の隅々まで調べられるのに対して、基本的には健康でさえあれば問題ない)などが違いますが、どちらも無重量状態は体験できるし、地球が丸いことも窓から見れば分かるはずです。また漆黒の宇宙空間も眺めることは出来ます。ですから、費用と日数を考慮して選べば良いのは確かです。
現在、いろいろな企業が弾道飛行用の宇宙機の開発を進めており、一番乗りを激しく競っています。この競争で後れを取った会社は事業的に成り立たなくなると見なされているので、将来の大きな市場をかけての一大勝負というわけです。
スペースアドベンチャーズ社は、Dice-KがISSに行く旅行でも選んだ代理店ですが、ロシアと共同で弾道飛行用の宇宙機「Explorer」(もしくは「C-21」という名称)の開発を進めています。同社は既に、ロシアの空軍基地を利用する権利を確保すると共に、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポールに宇宙港を建設し、100回の飛行試験を行う予定であるなど、かなり具体的な計画を発表しています。

バージン・ギャラクティック社 は、民間の技術で高度100kmへの有人飛行を初めて達成し、アンサリXプライズの勝者になった機体「スペースシップ1」を大型化した「スペースシップ2」の開発を進めています。同社はバージン航空のグループ企業なのでパイロットの選抜も具体的に進んでおり、2008年末の飛行を予定しているなど、今の段階では一歩抜け出してしているようです。
この2社はいずれも母機から空中発射してロケットで上昇し、滑走路へ着陸するタイプです。
ロケットプレーン社は、アメリカのオクラホマ州の宇宙港からジェットエンジンを使って離陸し、途中でロケットに切り替える1段式の機体を開発中です。こちらは日本人3人が3回の飛行を丸ごと貸し切って予約したことで話題となっています。
さてどこが商業飛行の一番乗りとなるのでしょうか?鍵はやはり飛行試験を重ねて安全性を確保することです。従って、試験飛行でトラブルが起きれば後発の会社に追い抜かれる可能性もあると思います。他にもいろんな会社が構想を出していますが、今のところ有力そうなのはこの3社だと私は考えています。しかし、退役したスペースシップ1以外は、まだどの機体も試験飛行さえ行っていないので、実際の飛行は各社が発表する予定よりも遅れるのではないかと思います。
これだけ宇宙旅行熱が加熱してきたら、民間でも資金を集められるので、米露の宇宙機関が開発した高価なロケットを利用しなくても、民間が宇宙機を開発して高度100kmから高度350kmへ達するのも簡単なのでは?と思われるかもしれませんが、実はここからが大変で、高度の差の問題ではないのです。高度だけであれば、300kmに達することも比較的容易に出来るとは思いますが、軌道周回速度、秒速7.9kmを出すのが大変なのです。そのエネルギーの差はまだ莫大であり、帰還時に受ける熱の大きさも比較になりません。スペースシップ1では、降下時に翼を折り曲げて加熱を抑えるなどした結果、600度C程度の熱に機体が耐えられれば良かった程度でしたが、シャトルもソユーズカプセルも1,600度Cの熱に耐えられなければならず、今開発中の民間の宇宙機の技術では、まだまだこの壁を破るレベルの技術には達しません。打ち上げの方はロケットさえ束ねれば何とかなるとは思いますが、安全な再突入技術だけは最後の最後まで難関として残ると思います。
ということで、安全神話の崩れたスペースシャトルも、旧式と言われるソユーズ宇宙船も、何と言われようとも簡単には乗り越えられないしっかりした設計と莫大な費用をかけた開発成果の塊だと言えるでしょう。

【関連URL】
Space Adventures社
http://www.spaceadventures.com/
Virgin Galactic社(日本語ページ)
http://www.virgingalactic.com/jp/default.asp
Rocketplane社
http://www.rocketplane.com/

Punch_XPrize_X1_0171.jpg


母機のホワイトナイトの下につり下げられて飛行するスペースシップ1
引用元
http://www.scaled.com/projects/tierone/gallery/X-Prize_1/XPrize_X1_0171

Written by FUJIMOTO

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