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Mysterious Space plus vol.04
November 22 - 2005 - SHUN
「最も火星に近い場所(上)」 Shun
有人火星探査において、火星での滞在は欠かせない。しかし、いきなり火星へ宇宙飛行士を送り、そこで生活しろ、というのはあまりにも無謀すぎる。未知の惑星で滞在するには、地球上であらゆる問題点を洗い出し、万全な準備を行う必要がある。そこで、有人火星探査(居住計画)の提唱者であるロバード・ズブリン(Robert Zubrin)博士が会長を務めるアメリカ火星協会は、NASAなどの協力を得て、あるプロジェクトを立ち上げた。それが現在地球上で最も火星に近い場所とも言えるプログラム、「Mars Analog Research Stations(MARS)」だ。
MARSとは「火星アナログ研究ステーション」、地球上で火星と似た環境を探し出し、そこで研究施設を作り、数名の研究者を外部と隔絶した生活をさせるシミュレーションである。簡単に言ってしまえば、地球上にある“火星基地”だ。
1番目のステーションは2000年、北極圏のカナダ・デボン島で建設され、「Flashline Mars Arctic Research Station(FMARS)」と名づけられた。最初の滞在クルーは6名の科学者がボランティアで参加し、数ヶ月に渡って様々な研究を行った。現在は2005年度のミッションを終え、次のミッション計画(2006年夏)が決まるまで無人で待機している。

FMARS
http://www.marssociety.org/arctic/
MARSの中で最も成果を挙げているのが、アメリカ・ユタ州で建設された2番目のステーション、「Mars Desert Research Station(MDRS)」である。MDRSは2001年1月に計画、建設され、12月から本格的な研究が始まった。特に2004年2月14日から2月28日に行われた第24回滞在ミッションでは、初の日本人クルーとして、読売新聞社の笹沢教一記者も参加した。

MDRS
http://www.marssociety.org/MDRS/
3番目のステーションは、ヨーロッパの火星協会管轄であり、アイスランド・クラフラに配置される予定の「European Mars Analogue Research Station(Euro-MARS)」である。Euro-MARSは2002年夏に建設され、シカゴのアドラー・プラネタリウムで展示されたが、資金不足によりクラフラへの配置ができず、そのまま3年間放置された。今年になって、ヨーロッパの火星協会が資金を集め、Euro-MARSをシカゴからイギリスへ輸送。そして、11月4日から11月6日まで、Wroughton 科学博物館で開かれた「第5回ヨーロッパ火星協会コンファレンス(EMC5)」に出展した。資金集めがこのまま順調に進めば、2006年中にEuro-MARSはクラフラに配置され、研究が始まるかもしれない。
Euro-MARS
http://uk.euromars.net/
最後となる4番目のステーションは、オーストラリア管轄であり、オーストラリア内陸部・アルカルーラに配置される予定の「Australian Mars Analogue Research Station(MarsOz)」である。こちらはまだ設計段階で、建設や配置に至るまではもう少し時間が掛かるだろう。
MarsOz
http://www.marssociety.org.au/MarsOZ.shtml
これら4つのステーション建設地にはそれぞれの特徴がある。FMARSの建設地であるデボン島は世界最大の無人島であり、寒い上、風が強く、砂ぼこりも舞い上がる乾燥した砂漠地帯だ。夏は火星と同じように有害な紫外線も降り注ぎ、その地形や気候などが火星に似ていることから、“地上の火星”とまで呼ばれている。デボン島は最初のステーション建設地として最適であるが、北極圏に位置しているため、アクセスが不便な上、冬は滞在研究できないという欠点もある。これに対し、ユタ州にあるMDRSはアクセスや気候が良いため、本格的な研究や長期間の研究に適している。
一方、Euro-MARSが配置される予定の、“火と氷の世界”を創り出すアイスランドは、火星生命を見つけるためのシミュレーションができ、地球外生命の研究に最も適している場所である。また、MarsOzが建設される予定のオーストラリア内陸部は、地球生命の化石が多く存在する場所である。これらの化石を探すことが、火星上に存在している生命の跡を探すシミュレーションとなる。この2つのステーションは、火星生命の研究を想定して作られた施設なのである。
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