TOP > COLUMN > SHUN > 宇宙からのスカイダイビング
宇宙からのスカイダイビング
May 11 - 2008 - SHUN

Image credit: Michel Fournier/le Grand Saut
これは一人の人間にとって小さなジャンプだが、人類にとって大きなジャンプ(飛躍)だ。
(It is billed as a small jump for a man, a big jump for humanity.)
アポロ11号のニール・アームストロング船長の言葉をもじっているのは、64歳の誕生日を迎えたばかりのフランス人スカイダイバー、ミシェル・フルニエ氏(Michel Fournier)だ。同氏は2008年5月25日、史上最高となる4万メートルの高度からのスカイダイビング(フリーフォール)に挑戦する。いや、通常のスカイダイビングは数千メートルから飛ぶので、この場合はスペースダイビングと呼んだ方が正しいかもしれない。
成層圏上部にあたる高度4万メートルは宇宙空間ではないが、0.01から0.3気圧、最低気温マイナス70度と、宇宙とさほど変わらない過酷な環境である。そこから眺めれば、大気に覆われた青い地球が目の前に広がり、地球が丸いことだって分かるだろう。
飛行機は高度4万メートルまで飛ぶことができないため、フルニエ氏はカナダのサスカチェワン州の草原からヘリウムガスの気球に乗り、約2時間半かけて高度4万メートルに到達する。そこから飛び出し、地球の重力で自由落下し、その後パラシュートを使って着地する。その間はわずか10分間、計算では最高速度は時速1500kmを上回るという。
一歩間違えれば、死に至る行為だが、もしこのフリーフォールに成功すれば、「最高高度のフリーフォール」、「最長時間のフリーフォール」、「最高速度のフリーフォール」、「最高高度の有人気球飛行」の4つの世界記録を達成し、生身の人間として初めて音速を超える。
呼吸できない環境に加え、落下時の圧力にも耐えなければならないため、フルニエ氏はまるでスペースシャトルの搭乗クルーが着るオレンジスーツのような特別なスーツを着用する。スーツは「EFA-ARZ タイプ23」と名付けられ、1000分の1気圧、マイナス100度を10分間耐えることができ、落下姿勢をコントロールできるように柔軟性も備えている。また、スーツの他、パラシュート、ヘルメット、酸素ボンベ、レコーダー、GPSなども装備する。
大きなジャンプを意味する「ル・グラン・ソー(le Grand Saut)」と名付けられたこのプロジェクトは1987年まで遡る。元々はフランス国立宇宙研究センターなどが、フルニエ氏らを含む24人を選出し、3万8000メートルからのフリーフォール・プロジェクト「S38」を発足したが、1989年、ヨーロッパの小型スペースシャトル「エルメス」の開発中止に伴い、「S38」も中止された。
しかし、フルニエ氏はこのプロジェクトを諦めることができず、個人的に活動を続け、1992年には1万2000メートルのスカイダイビングを成功させ、フランスのフリーフォール記録を更新した。フルニエ氏はフランスでより高い場所からのスカイダイビングを望んだが、安全上の理由から、フランス当局に拒否された。
2001年、フルニエ氏は調査のためにカナダに訪れ、カナダ当局がプロジェクトに興味を示し、サスカチェワン州の草原でのフリーフォールを許可した。そして、フルニエ氏は2002年9月と2003年8月、2回挑戦しようとしたが、いずれも天候と気球の問題で中止された。
ちなみに、スカイダイビングの世界記録は高度3万1333メートル。1960年、アメリカ空軍のジョー・キッティンジャー大佐(Joseph Kittinger)が成し遂げたものである。軍の実験の一環として行われたため、公式記録ではない上、キッティンジャー大佐は飛び降りた後に、すぐにパラシュートを使用しているため、フリーフォールとみなされていないとも言われている。
果たしてフルニエ氏がこの記録を破ることができるのか、注目が集まる。
Written by SHUN
SHUN 記事一覧
- 2008.05.11宇宙からのスカイダイビング
- 2008.01.28SpaceShipTwoの課題はロケットエンジン
- 2007.04.27Mysterious Space plus vol.12
- 2006.09.04Mysterious Space plus vol.11
- 2006.07.18Mysterious Space plus vol.10
- 2006.06.13Mysterious Space plus vol.09
- 2006.04.20Mysterious Space plus vol.08
- 2006.02.22Mysterious Space plus vol.07
- 2006.01.24Mysterious Space plus vol.06
- 2005.12.21Mysterious Space plus vol.05
スポンサード リンク
COLUMN 記事一覧
- 2010.07.17宇宙旅行 vol.02
- 2010.06.11ムーンな想い vol.11
- 2010.05.08宇宙旅行 vol.01
- 2010.04.28ピンク・ネブラ vol.13
- 2010.04.10ムーンな想い vol.10
- 2010.04.05新宇宙家族 vol.18
- 2010.04.04新宇宙家族 vol.17
- 2010.04.03新宇宙家族 vol.16
- 2010.04.02新宇宙家族 vol.15
- 2010.04.01新宇宙家族 vol.14
- 中国文昌衛星発射センターの建設、重要な1年を迎える
- 中国海南省文昌市郊外で、文昌宇宙センター(海南航天発射場)...
- HTV3号機/H-IIBロケット3号機の打ち上げ、6月に延期
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月8日、宇宙ステーション補給機...
- スペースX社、ISSへのファルコン9ロケットの打ち上げは4月
- スペースX社のイーロン・マスクCEOは2月3日...
- HUMAN SPACE FLIGHT
- オリオン | クリッパー | ISS | スペースシャトル | ソユーズ | 神舟 | プログレス | ATV | ドラゴン | シグナス | ブラン | HTV | 天宮 | MPCV | CST-100 | 宇宙エレベーター | その他
- COMMERCIAL SPACE FLIGHT
- 宇宙旅行者 | スペース・アドベンチャーズ | ヴァージン・ギャラクティック | ロケットプレーン | X PRIZE | ビゲロー・エアロスペース | ブルー・オリジン | EADS | ギャラクティック・スイート | アルマジロ・エアロスペース | XCOR | RRL | その他
- ROCKET
- H2A | デルタ | アトラス | ソユーズ | プロトン | アリアン | ファルコン | アレス | 長征 | ゼニート | PSLV | ミノタウロス | ドニエプル | コスモス | GSLV | CAMUI | ペガサス | ロコット | H2B | KSLV | アンガラ | ヴェガ | アテナ | イプシロン | SLS | 観測ロケット | その他
- SATELLITE
- 通信・放送衛星 | 軍事衛星 | GNSS | 気象・地球観測衛星 | 科学衛星 | 小型衛星 | その他
- SPACE
- 宇宙 | 銀河・星雲 | 系外惑星 | 太陽系 | 土星 | 火星 | 月 | 木星 | 金星 | 地球 | 水星 | 地球外生命 | その他
- AIRCRAFT
- Xプレーン | スクラムジェット | ボーイング | エアバス | 戦闘機 | その他
- EVENT
- ユーリズ・ナイト | 天文台 | その他
