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Mysterious Space plus vol.06
January 24 - 2006 - SHUN
「最も火星に近い場所(下)」 Shun
MARSプロジェクトを運営していく中で、最も重要となるのが外部との通信である。Hab唯一の通信手段は衛星によるものだが、火星環境を再現するため、通信には5分間の時間差、1日1回(19時から22時)のみと定められている。但し、滞在クルーの健康や安全なども考慮しなければならないので、緊急時の連絡は例外として許されている。
通信の中で、滞在クルーは様々な報告書を日々、ミッション・サポートに提出しなければならない。報告書は、その日の日記、探査成果、翌日の予定、クルーの健康状態、日常会話などがある。火星滞在研究に限らず、正確な状況を把握することは非常に重要なことである。報告書についてより詳細な情報は、下記MDRSのオペレーション・マニュアル(英語)に記載されているので、興味のある方はぜひそちらを参照して欲しい。
MDRS Operations Manual
http://www.marssociety.org/MDRS/crews/opsman00.asp
滞在クルーの主な探査活動(EVA:Extra Vehicular Activity)が、Habの周りの岩などを調査することである。もちろん、火星滞在を想定しているため、Habから出る時は全員模擬宇宙服を着用しなければならない。EVAは主に2種類あり、1つは最も基本的な方法である徒歩によるもので、もう1つは一人乗りの探査車(ATV:All Terrain Vehicle)に乗って行うものである。

(EVA)

(ATV によるEVA)
どちらのEVAも前日の夜、最短ルートを選定し、リーダー(CDR:Crew Commander)が担当を割り振る。徒歩によるEVAの活動範囲は2kmから3km、ATVによるEVAでは、10km以上離れた場所へ行くこともある。いずれも重たい模擬宇宙服を着用しなければならないため、その活動は想像以上に大変である。有人火星探査は知識だけでなく、体力も求められているのだ。ただ、写真のように、楽しそうにATVに乗っている研究者達の姿を見ていると、筆者は少し羨ましいと思う。
HabにはEVAを行うための模擬宇宙服の他、食料品なども常時備えられているが、滞在クルーが使う日常用品や衣類は各自で持ち込む。持ち込める物は基本的に自由だが、Habのスペースも限られているので、欲しい物を全て持っていけば良いというわけではない。MDRSの持物リストによると、寝袋や寒さをしのぐ衣類は必須で、ブーツやカメラなども推薦されている。また、滞在クルーの娯楽や退屈しのぎも考慮され、アルコール類(適量)、本・DVDなどの持ち込みも許可されているようだ。
Crewmember Pack List
http://www.marssociety.org/MDRS/crews/packlist.asp
当たり前のことだが、MARSプロジェクトを進めたことで、有人火星探査が実現できるわけではない。以前にも書いたように、クリアしなければならない課題はまだいくつもある。しかし、何もしなければ何も始まらない。困難であるゆえ、それをクリアするのに、地道な努力の積み重ねが大切である。MARSプロジェクトで得られたデータは今も、今後も、非常に貴重なものであることは変わらないだろう。
2005年12月29日、NASAがまとめた有人火星探査計画の最終報告書案が明らかにされ、その内容は、MARSプロジェクトのような居住施設などを載せた3機の宇宙船を打ち上げ、6名の宇宙飛行士が火星で約500日間にも及ぶ長期滞在を行うものとなっている。そして、2006年1月9日、MDRSの第5回フィールド・シーズンが再び始まり、有人火星探査の実現というゴールを目指して、世界各国の科学者達の研究は一歩一歩、着実に進んでいるのだ。
MDRS第5回フィールド・シーズンの最新情報とMDRSのウェブカメラは下記のサイトからどうぞ。
【関連URL】
2005-2006 Field Season - Daily Reports & Photos
http://www.marssociety.org/MDRS/fs05/
MDRSのウェブカメラ
http://freemars.org/mdrscam/
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