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sound & vision vol.03
December 2 - 2005 - 経営Z
「DIRECTORS LABEL」(後編) 経営Z

前編に続いて、PVのコンピレーションDVD「ディレクターズ・レーベル」の第2弾の監督から、前回紹介できなかったファン・セドゥナウィとマーク・ロマネクの両監督の紹介を続ける。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「Give It Away」のPV監督ステファン・セドゥナウィは、ファッション方面で活躍するフランス人のフォトグラファーとしても知られている。
同郷のミルウェイズ「Disco Science」や、U2「Discotheque」、ジャミロクワイ「Little L」(DVD未収録)など、ディスコをキーワードに一度観たら忘れられないような強烈なインパクトを残すPV作品を多く手掛けている。
マーク・ロマネクはナイン・インチ・ネイルズ「Closer」、レニー・クラヴィッツ「Are You Gonna Go My Way」など数々のPVでMTVアウォードを受賞し、日本でも監督作「ストーカー」が劇場公開されている。今回の4人のディレクターの中でもっとも注目したいのが彼である。
細部にまで徹底してこだわった彼の映像世界に魅了され、「完璧主義者で厳しい要求を出す妥協知らずの監督」という噂を物ともせず、一緒に仕事をしたいというミュージシャンが後を断たない。
彼のPVの特徴として「日常に紛れ込んだ非日常」という構図がある。ソニック・ユース「Little Troubled Girl」では静まり返った邸宅をエイリアンが歩き回り、ベック「Devil's Haircut」では街を行くベック自身がスナイパーに狙われる。
もう一つの特徴として、ロマネクタッチとも言える独特のライヴシーンの切り取り方がある。リンキン・パーク「Faint」ではメンバーは後ろからの影しか写らず、強烈な照明で延々と観客を映し出す。オーディオ・スレイブ「Cochise」ではバンドの演奏にシンクロするかのように、花火が過剰に打ち上げられる。レニー・クラヴィッツを一躍スターダムに押し上げた「Are You Gonna Go My Way」では、古代遺跡のような円形ドーム型ステージに、ミラーボールのようなライトが灯される。一見トリッキーに写るライヴ演出も、彼の中ではライヴというミュージシャンにとっての「日常」に潜んだ「非日常」なのかもしれない。
2002年に公開された『ストーカー』は、郊外の大型スーパーのDPEコーナーで働く中年男が、常連客の生活に深く関わっていく、という物語で、これも「日常の中の非日常」をテーマにした作品である。
胡散臭くならないギリギリの反意で徹底して人工的に作り上げられた大型スーパーのセットが、映画の脇役と言っても過言ではない程の効果を醸し出しているが、そうした独特の世界観を構築するスキルは、恐らく今回DVDに収録されている数々のPVを監督することで得たものだろう。
「ディレクターズレーベル」第1弾シリーズからは、スパイク・ジョーンズとミシェル・ゴンドリーが、すでに長編映画の監督を経験している。ジョーンズは『マルコビッチの穴』『アダプテーション』を、ゴンドリーは『ヒューマン・ネイチュア』『エターナル・サンシャイン』を、それぞれ2本の劇場公開作を手掛けている。いずれの作品も、PV作品を習作としたかのような集大成的な映画となっており、その独創性に富んだスタイルに映画界からの評価も上々だ(『エターナル?』は2004年度アカデミー脚本賞を受賞)。
クリス・カニンガムも、現在は彼の手を離れてしまったようだが、ウィリアム・ギブスン原作『ニューロマンサー』の実写版を監督する、という話もあった。
今回の「ディレクターズレーベル」第2弾からも、それぞれ監督達は続々と映画界に進出する動きを見せている(前回参照)。こうした一連の流れには、映画界が業界全体を活性化させるための起爆剤を、彼らのような「ヴィジョンありき」なPV作家達に、より求める傾向が強くなっているような印象を受ける(これは逆にいえば、映画業界として若手監督を育成することに対する怠慢とも受け取れるのだが……)。「ディレクターズレーベル」のシリーズがこの後に第3弾と続くのであれば、様々な映像メディアへリンクしていく発信元として、今後も注視していく必要がありそうだ。
【関連URL】
ステェファン・セドゥナウィ公式サイト http://www.stephanesednaoui.com/
マーク・ロマネク公式サイト http://www.markromanek.com/
Written by 経営Z
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