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松本坊主の教え Vol.04

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「色即是空」 松本圭介

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 この地球には、65億もの人が暮らしている。街を歩けばたくさんの見知らぬ人とすれ違う。旅に出ればどこまで行ってもそこには誰かの生活がある。

 かごを引いて買い物するおばあさん。河原のテントで自炊するひげもじゃのおじさん。窓から布団を干してるおばさん。かけっこをして遊ぶこどもたち。ひなたぼっこするネコ。

 すべての人がそれぞれの思いを胸に、生きている。その思いが寄り集まって、世界は少しずつかたちを変えながら、日々動いている。たったひとりの思いだって量ることができないくらい大きくて深くて複雑なのに、それが65億も絡みあってしまったら、その重さで地球は押しつぶされてブラックホールになってしまうんじゃないか。そんな想像をしてしまう。

 しかし、それでもやはり地球は回っている。毎日あちらこちらで思いと思いがぶつかっているのに、それでもまだ地球は壊れることなく、なんとか回っている。

 いや、ほんとうはそうではないのだ。人それぞれ、思いの強さ、方向、性質は違うもの。それがぶつかり合うことは、結果として分かり合ったりあるいは決別したりすることになったとしても、お互いが先に進むためにはどうしても必要なのだ。よりよい未来のためには不可欠な、ぶつかり合いの積み重ね。

 ほんとうに恐ろしいのは、ぶつかり合いを失ったからっぽの世界ではないか。現代、人はメディアというツールを使い、自分の思いをかたちづくるための情報を得、自分の思いを他の人へ向けて発信する。技術の進歩により、その手軽さ、スピードは驚くべきレベルに達した。しかし、人ははたしてそれに耐えるだけの強さを持っているのだろうか。やがてそのツールに追い越され、流れ行く情報を反射するだけの、鏡でできたからっぽの魂になりはしないか。

 からっぽの魂は、まわりとぶつかり合うことなく誰かの思いをそのまま反射する。そんな魂が増殖したからっぽの世界では、ふとした思いが乱反射して暴走し、地球はやがてきっと決定的に破綻するだろう。

 今こそ思い出したい。

 色即是空、空即是色。

 すべては相依って成り立ち、一つとして単独で存在することはないのだ。

Written by 松本圭介

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